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【ナガサキ情報~西日本新聞から】被爆合唱団が米公演 米国に被爆者の歌声 長崎の合唱団「ひまわり」公演

体験も証言、高校生ら大きな拍手

 長崎市の被爆者でつくる合唱団「ひまわり」が4月29日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれている米ニューヨークの高校を訪れ、初の海外公演に臨んだ。核廃絶や世界平和のメッセージが込められた歌を聴いた現地の生徒は「核のない世界を築くのは僕らの世代の役目」と力強く語った。

 訪米したのはメンバー51人のうち87~69歳の17人。歴史教育の一環で、被爆者から直接体験を聞く取り組みをしている公立のラブ高校を訪れた。

 生徒ら約160人を前に「世界で唯一の被爆者だけの合唱団」と紹介されたメンバーは、毎年8月9日の平和祈念式典で披露している「もう二度と」など5曲を熱唱。最後の「We never forget」では、生徒たちが声を合わせ英語のフレーズを歌う場面もあった。

 メンバーの牟田満子(みちこ)さん(79)は、原爆で母と妹を亡くし、父も間もなく病死した当時の様子を曲の合間に語った。自身も負傷し、戦後は妹2人の母親代わりとなって働き、学校に行けなかったことも伝えた。

 合唱後の会場は、立ち上がった生徒たちの大きな拍手に包まれ、胎内被爆した大平八千代さん(69)は「一言一言かみしめて歌った。日本語でも気持ちは伝わった」と感慨深げだった。

 政治家を目指しているという同校2年のイブラヒム・アフメッドさん(16)は「被爆者の歌は印象的だった。僕らの時代で米国の核戦略を変えて、核兵器をなくさなければならない」と話した。

(ニューヨーク発 西日本新聞・上野洋光)

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