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「核の悲劇の側面 認識」 原爆関連施設国立公園化 米政府、広島市に返書

 米国が原爆を開発、製造したマンハッタン計画関連施設の国立歴史公園化について、原爆がもたらした結果も紹介するよう求めた広島市の要請文に対し、米政府の担当局から返書が届いた。「世界を変えた出来事に関し、バランスの取れた見方を示す」としている。8日、市が発表した。

 内務省国立公園局のジョナサン・ジャビス局長名の4月20日付の封書で、7日に市に届いたという。

 計画について「科学技術の進歩」「戦時に米国民が一丸になった」という側面とともに、「広島と長崎で核兵器が使われた」「核兵器による死と破壊の悲劇」の側面もあるという認識を表明。公園の解説内容について「日本と広島、長崎各市と協力して取り組みたい」と記している。被爆の実態を伝える資料提供に協力姿勢を示した市への謝意もあった。

 公園化を働き掛けた米国の核遺産財団の理事長と訪米時に懇談した松井一実市長は、この日の記者会見で「問題意識は共有できた」と強調。協力姿勢には被爆者たちの間にも慎重論がある点を問われ「こちらの懸念を極力排除するよう、米国側に理解してもらうのが重要」と述べた。

 マンハッタン計画に関わるニューメキシコ州のロスアラモスなど3地域の施設周辺を国立歴史公園に指定する法案が上下院で可決されたのを受け、松井市長が昨年12月17日付で、キャロライン・ケネディ駐日大使に要請文を送っていた。(川手寿志)

(2015年5月9日朝刊掲載)

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