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広電被爆建物 取り壊しも 本社ビル周辺 事務所と変電所 再開発を検討 広島

 広島電鉄(広島市中区)が今後、本社周辺の所有地約2万2千平方メートルを再開発する構想を持っていることが11日、分かった。具体的な計画作りはこれからで「にぎわい拠点」を目指す考えだ。一方、所有地内には、広電が保有する被爆建物が2棟あり、取り壊しを含めて検討する。

 再開発を目指すのは、中区東千田町の本社ビルの周辺にある所有地。千田車庫や賃貸ビル、駐車場として利用している一帯の有効活用を進める。2020年の東京五輪・パラリンピックなどで建設現場の人材確保が難しいとみて、それ以降の着工を想定している。

 広電が再開発構想を進める過程で浮上するのが、ともに被爆建物でれんが造りの事務所と、千田町変電所の扱いだ。広電によると、2棟とも前身の広島電気軌道が1911年、発電所として建てた。爆心地から1・92キロの地点にあり、原爆で窓ガラスや屋根が損壊したが、倒壊は免れた。

 今も事務所と変電所として使っているが、建設から1世紀以上たち、老朽化が進む。耐震化し、保存するには多額の費用を要するとみられる。

 広電の椋田昌夫社長は「被爆建物として保存を前提には考えていない」と説明。「まちの活性化につながるなら生かしたいし、難しいのであれば(取り壊しを)考えざるを得ない」と話している。

 広島市国際平和推進部によると、現存する被爆建物は86件で、民間企業の建物では広電の2棟が最も古いという。(桑島美帆)

(2015年5月12日朝刊掲載)

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