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原爆症認定 「残留放射線の考慮必要」 厚労省検討会 専門家ら意見

■記者 岡田浩平

 厚生労働省の「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」の第4回会議が27日、省内であった。広島市で被爆者の医療や健康管理に関わってきた参考人の斉藤紀医師は残留放射線で被爆者全員が何らかの被曝(ひばく)の影響を受けたことは否定できないと主張し、積極救済を求めた。

 斉藤氏は入市被爆者の白血病調査などから残留放射線による健康への影響を説明。「残留放射線を考慮しない線量評価は科学的理解としても不合理だ」などと述べ、原爆投下時の初期放射線被曝の有無で被爆者を区別しないよう訴えた。認定者の手当に関し、現行の一律の金額ではなく病気の重さなどに応じた段階化を提案した。

 参考人としてほかに、原爆症認定集団訴訟の宮原哲朗全国弁護団事務局長が、現行基準で原爆症に認定されなかった原告を認めた判決をひき、司法と行政判断の隔たりを批判。広島、長崎両市の援護担当者は施策の概要などを紹介した。

 一方、前回に続き欠席した森亘座長(東京大名誉教授)は体調を崩し入院していることが神野直彦座長代理(同)から報告された。森氏は検討会に寄せた文書で、昨年12月に始まった検討会の議論を「1年から1年半程度を一応の目標」とする考えを表明。早ければ年内に新たな認定の仕組みをまとめる方針を示した。

 これに対し、検討会委員の1人、日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は記者会見で、独自案を検討会に提案する意向を表明した。

(2011年6月28日朝刊掲載)

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