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社説・コラム

『この人』 歴代最年少で長崎平和宣言の起草委員に選ばれた元中国新聞ジュニアライターで長崎大3年 西田千紗さん 

被爆地結び世界に訴え

 「身を削って反核を訴えてきた被爆者の思いを若者がつなぐだけでなく、中心となって行動すべきだと気付かされた」と、気を引き締める。

 被爆地広島に生まれ育った。ヒロシマについて意識するようになったのは、中学3年の春に中国新聞ジュニアライターになってから。高校2年秋までの約2年半、「平和」をテーマに国内外の団体や個人の取材を重ねた。「視野が広がったし、誰とでも物おじせず接することができるようになった」。アニメ映画監督の宮崎駿さんにインタビューしたこともある。

 放射線被害に関心を持つとともに、海外で働ける医師になりたい、と原爆後障害医療研究所がある長崎大に「国際保健医療枠」で進学。同大と長崎県、長崎市による「核兵器廃絶長崎連絡協議会」が、核拡散防止条約(NPT)再検討会議や、同準備委員会に派遣する「ナガサキ・ユース代表団」に2年連続で選ばれた。

 ことしも4月下旬から約2週間、米ニューヨークを訪れた。現地では、「核問題に対する若者の意識」をテーマに発表。米国やイタリアの若者の意見も聞き、「人ごとでない、自分の事として考えられれば若者の関心は高まる」と確信した。

 活動を通じ、長崎市の田上富久市長が、原爆や核兵器についての知識の豊富さと国際的な視野の広さを評価。さらに「世代間だけでなく、広島と長崎の懸け橋として頑張ってほしい」と期待する。

 「広島と長崎が一緒になって世界に訴えたら、声はもっと大きくなる。そんなつながり役を担えればうれしい」(二井理江)

西田千紗さん 委員に 元ジュニアライター 長崎平和宣言の起草委

 長崎市は12日、田上富久市長が8月9日の平和祈念式典で読み上げる平和宣言文の起草委員会メンバーを発表した。15人の1人に、広島市西区出身で元中国新聞ジュニアライターの長崎大3年西田千紗さん(20)が歴代最年少で選ばれた。

 委員は、委員長の田上市長をはじめ、被爆者の谷口稜曄さんや土山秀夫・元長崎大学長たち。西田さんは、同市や長崎県、長崎大でつくる「核兵器廃絶長崎連絡協議会」から、核拡散防止条約(NPT)再検討会議や同準備委員会に2年連続で派遣された「ナガサキ・ユース代表団」のメンバー。計3回開かれる会議で平和宣言文について意見を交わす。(二井理江)

(2015年5月13日朝刊掲載)

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