×

ニュース

「被爆者の役目 継承を」 国連事務総長から核廃絶への文書 ジュニアライター宛て

 NPT再検討会議を取材するため米ニューヨークを訪れていた中国新聞ジュニアライター宛てに、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長=写真=から核兵器廃絶に向けた自らの思いと若者への期待をつづった文書が届いた。メールで送っていた質問への返事。

 文書は英語で、A4判3枚。ジュニアライターをはじめ核兵器廃絶に向け活動している若者について、2010年8月6日の広島訪問を踏まえ、「広島の高校生たちは、自分の街で起きた恐ろしい出来事を受け止め、核兵器のない世界という財産に生まれ変わらせる手助けをしている」と記している。核廃絶の議論が行き詰まっている中、「被爆者の役目を引き受け、引き継いでいってほしい」と期待。「核兵器廃絶に深い関心のある他の若者とネットワークを結んではどうか」とアドバイスしている。

 また、核兵器の近代化や新型核兵器開発を懸念。政治的駆け引きをやめ、核兵器のない世界を求める人々の声に応えて行動するよう各国の首脳に求めている。

 ジュニアライターの高校1年溝上希さん(15)は「潘事務総長が核兵器廃絶に強い思いがあるのを確認できて安心した。ただそれでも実現できておらず、解決の難しさを感じる」。高校2年二井谷栞さん(16)は「将来世代に核兵器と共存する恐ろしさを味わわせないためにも、被爆したらどうなるのか、その記憶を確実に受け継いでいかないといけない」と話していた。(二井理江)

(2015年5月14日朝刊掲載)

年別アーカイブ