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日本、復活を要望 NPT草案 「被爆地訪問要請」 複数の国が支持 中国は「認めぬ」

 米ニューヨークの国連本部で開かれている核拡散防止条約(NPT)再検討会議は15日、第1委員会(軍縮)で最終文書の軍縮関連部分の草案をめぐる討議を続けた。世界の政治指導者らに被爆地訪問を要請した記述が削られているのを受け、日本は復活を要望。複数の国が支持を表明したが、中国は「(議論は)もうたくさんだ」と認めない立場を貫いた。終了後に参加国に配られた草案の改訂版には依然、記載されていない。(ニューヨーク発 田中美千子)

 討議では、日本の佐野利男軍縮大使が、核兵器使用による非人道的結末に対する国際社会の認識の高まりを指摘。核軍縮の必要性を次世代に伝える上で「広島、長崎への訪問が最も効果的だ」とし、最終文書に被爆地訪問の記述を盛り込むよう求めた。

 フィリピンの政府代表も「記述は第2次大戦に関するものでなく、広島や長崎を通じて核兵器がもたらす破壊の規模を世界に知らせるものだ」と述べ、日本の主張を擁護。エストニア、ナイジェリアなども同調した。

 これに対し、中国の傅聡軍縮大使は日本政府が「侵略の歴史」を繰り返し否定してきたと批判。「日本代表団が他国の感情に多少の敏感さを示し(被爆地訪問要請の)提案に固執しないよう望む」とけん制した。

 草案改訂版では、核兵器禁止条約など法的枠組み制定を検討するよう促す記述を残したが、反対する核兵器保有国に配慮して表現ぶりなどが修正されている。第1委の議長は18日にも採択を目指す方針だが、核兵器保有国と非保有国との間で意見が激しく対立し、見通しは立っていない。再検討会議は22日の最終日に向け、第1~3委員会の草案などをまとめた最終文書案の作成が佳境に入る。

(2015年5月17日朝刊掲載)

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