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被爆クスノキでオカリナ 広島の江村さん制作 平和への願い奏でる

■記者 榎本直樹

 広島市南区のオカリナ奏者江村克己さんが、広島で被爆したクスノキで二つのオカリナを作った。29日、中区で「被爆オカリナ」を奏でる初の演奏会を開き、平和への願いを素朴な音色に乗せる。

 樹齢300年とされる被爆クスノキは、南区比治山町の長性院の境内に根元から幹の下部分が残る。二十数年前、倒木のおそれがあったため上側を伐採。その木は檀家(だんか)で被爆者の木彫家中西平三さん(68)=南区=が大切に保管している。

 江村さんは3月、平和活動に取り組む知人の仲介で中西さんから木の一部を譲り受けた。たんす職人の知り合いに木をくり抜いてもらい、自分で穴を開けて5月中旬に仕上げた。演奏会では女性とペアを組み、被爆10年後に亡くなった佐々木禎子さんを題材に今年作った曲「私は飛びたい」などを披露する。

 会場は、同じ被爆クスノキを使った観音菩薩(ぼさつ)像がある、中区元安川のかき舟ひろしま。江村さんは「素朴で柔らかい音が出る。穏やかな気持ちで聞いてもらい、あらためて平和の大切さを考えてほしい」と話している。

 演奏会は午後6時半開演。参加費は料理付き5千円。定員35人。締め切りは20日。江村さんTel082(567)2225。

(2011年7月5日朝刊掲載)

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