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被爆70年 鎮魂の風 死没者名簿108冊 広島の平和公園

 被爆70年の夏を前に、広島市は20日、中区の平和記念公園で、原爆慰霊碑の石室に納めている108冊の原爆死没者名簿を外気にあて、湿気をとる「風通し」をした。

 1953年から毎年、梅雨入り前のこの時期にしており63回目。原爆投下時刻の午前8時15分、市職員20人が黙とうして作業を開始。石室から1冊ずつ取り出して碑前に敷いた白い布の上に並べ、1枚ずつ丁寧にページをめくった。

 名簿のうち106冊には、昨年8月5日までに亡くなった広島の被爆者29万2325人の名前や死没年月日、年齢が記されている。残る1冊には遺族が希望した長崎の被爆者9人の名前など、もう1冊には「氏名不詳者多数」と書かれている。

 修学旅行で訪れた三重県いなべ市の員弁(いなべ)中3年生たちが作業を見守り、位田(いんでん)陽菜乃さん(14)は「29万もの人が亡くなったんだと実感した」と恒久平和を願った。

 市は作業後、広島の1冊と長崎分を残して石室に戻した。昨年8月6日以降に亡くなったか、死亡が確認された被爆者の名前を6月から記帳し、8月6日の平和記念式典で慰霊碑に納める。昨年の式典では、5507人分、3冊が増えた。(高本友子)

(2015年5月21日朝刊掲載)

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