×

ニュース

『フクシマとヒロシマ』 福島大・渡辺副学長に聞く 線量評価 広島大に期待

■記者 河野揚

 福島第1原発事故を受け、広島大と福島大(福島市)は、放射能汚染地域の影響調査などで連携する包括協定を月内にも結ぶ。福島大の渡辺明副学長に協定の狙いや、被曝(ひばく)医療の蓄積がある広島大への期待を聞いた。

 ―具体的に、どのような連携を想定していますか。
 福島大は理工系の教授たちを中心に、原発から80キロ圏内の放射線量を測定している。被曝から数年から数十年後に発がんなどがある晩発性障害は、今後注意しなければならないだろう。そんなことも視野に各地の放射線量のデータを記録している。

 広島大には、その値がどれほど人体に影響を及ぼすかを原爆放射線医科学研究所(原医研)に評価してもらう。原爆被爆から60年以上の蓄積がある広島大抜きに福島の復興はなせない。

 ―原発周辺の自治体にも、連携による成果を伝えるそうですね。
 各自治体の復興プラン策定に役立ててもらいたい。避難している人たちにとって、いつになったら自宅に戻れるのかなどは一番知りたい情報だろう。避難指示区域の見直しや、復興拠点となる役場をどこに設置するとよいかなどについても両大の調査研究が生かせると考えている。

 ―どのような人材交流を予定していますか。
 低線量、長時間の被曝は人類初の体験。これを社会のために研究したいと考えている広島大生がいれば、ぜひ福島に来てほしい。福島大も放射線医学や原発について学ぶ講座を計画しており、広島大の専門家に授業をしてほしいと思っている。

(2011年7月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ