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地元同意対象に求めず 伊方原発再稼働 山口知事が方針

 山口県の村岡嗣政知事は21日の記者会見で、原子力規制委員会が原発の新規制基準を満たしていると判断した四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、再稼働の際の地元同意の対象に同県を加えるよう求めることは「考えていない」と述べた。同県上関町の離島八島が避難計画の策定を求められる半径30キロ圏に含まれる。

 村岡知事は、再稼働の手続きで必要な地元同意について「事前の了解を盛り込んだ原子力安全協定は、原発立地県以外では締結されていない」と指摘。県は2013年、原発のトラブル発生時の迅速な通報などで四電と合意しているとして「あらためて立地県並みの協定締結を求めることは考えていない」とした。

 愛媛県の中村時広知事は伊方原発の「地元」の範囲を、「ここで線引きするというように、特定できるものではない」と話している。村岡知事は中村知事への働き掛けについても「現時点で何か考えているものはない。愛媛県の判断を見極め、対応を検討したい」と話した。

 東京電力福島第1原発事故では半径30キロ圏を超えて放射性物質が広範囲に飛散した。中国電力島根原発(松江市)から最短で17キロにある鳥取県の平井伸治知事のように、地元同意の対象に含めるよう主張する隣接府県もある。

 これに対し村岡知事は「原発との距離で受ける影響は違う。30キロのぎりぎりにある場所では避難態勢を万全にすることが最重要だ」と強調。「再稼働を進めるのは国の政策。世界最高とする安全基準に沿った施設なのか、国が責任を持って点検してほしい」と話した。(村田拓也)

(2015年5月22日朝刊掲載)

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