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広島県内14年度 5年連続目撃1000件超 米軍低空飛行 土日祝日も依然続く

 広島県内で2014年度に目撃された米軍機とみられる低空飛行は延べ1111件に上り、5年連続で千件を超えたことが県の集計で分かった。前年度から420件減ったが、調査を始めた1997年度以降で6番目に多い。県は近く、日米両政府に低空飛行訓練の中止をあらためて要請する。(松本恭治)

 目撃情報は、県北や米海兵隊岩国基地(岩国市)に近い県西部を中心に9市町の住民から寄せられた。最多は北広島町の699件で、全体の63%を占めた。続いて、安芸太田町171件▽廿日市市157件▽三次市25件▽庄原市20件▽江田島市17件▽大竹市12件▽広島市9件▽安芸高田市1件―だった。

 県内では中国山地を横断するとされる「ブラウンルート」や、西中国山地の「エリア567」が訓練空域として設定されている。三次市作木町に住み、市から米軍機監視の情報連絡員を委嘱されている岡本和彦さん(62)は「ゴーという地鳴りのような爆音が響き、心臓に悪い。機体を傾けながら山すれすれの高さを蛇行して飛ぶ様子を見ると、ゲーム感覚ではないかとすら感じる」と憤る。

 北広島町の359件減をはじめ、6市町で目撃情報が前年度を下回る一方、廿日市市では100件増となった。市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する県西部住民の会」の坂本千尋事務局長(62)=廿日市市=は「飛行コースが多様化している。状況が改善されないため通報を諦める人も増えており、実数は減っていないのではないか」と分析している。

 日米合意で「必要不可欠なものに限る」とされている土日祝日の目撃件数は55件だった。前年度から11件減ったが、依然なくなっていない。午後7時から翌朝午前7時までの夜間・早朝時間帯も151件に上った。目撃の実日数は195日だった。

(2015年5月22日朝刊掲載)

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