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原爆で焼けた広島 絵本に 3歳で被爆 兵庫の柳生さん

■記者 赤江裕紀

 体験や両親の話 描写

 3歳の時に広島で被爆した、兵庫県芦屋市在住の柳生研太郎さん(69)が、当時の被爆体験と父母の話を基にした絵本「青い空」を自費出版した。すさまじい爆風に襲われ、一瞬で焼け野原となった町を描き、核兵器廃絶への願いを込めた。

 軍都として栄えた広島が火の海になり、廃虚から復興するまでをたどる。爆心地から北東2・3キロの牛田で被爆。自宅の屋根がふき飛んで青空が見えた記憶や、5年前に亡くなった母昌子さんの手記と広島市西区に住む父亮三さん(105)の話から、焼き尽くされた町の姿を描いた。

 柳生さんは昨年、被爆証言者を募っていた非政府組織(NGO)ピースボートの船で世界21カ国を旅した。途中で紙芝居を作り、被爆について伝えた。各国で好評だったため、この時の12枚の絵に戦前戦後の4枚を加えて絵本に仕立てた。

 定年退職し、芦屋市で被爆者の会の世話役を務める。「世界中の子ども、大人にも被爆の実態を知ってほしい」と柳生さん。被爆体験を言い聞かせたという亮三さんは「原爆投下直後の広島を細かく再現してくれた」と感謝する。風詠社刊、A4判、31ページ。1050円。

(2011年7月8日朝刊掲載)

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