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岸田氏「大変残念」 核なき世界 努力継続 NPT会議決裂

 米ニューヨークの国連本部で開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議が決裂したのを受け、岸田文雄外相は23日、「被爆70年の節目に開かれた会議で最終文書の合意に至らず、大変残念だ」と、無念さをにじませた。(岡田浩平)

 岸田外相は広島市中区の事務所で記者団の取材に応じた。最終文書案について、米国などが反発した中東問題以外は合意していたとの認識を表明。非核保有国でつくる軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI、12カ国)との連携に触れつつ「核兵器のない世界に向けた取り組みに悪影響が出ないよう、引き続き努力したい」と述べた。

 保有国と非保有国で対立していた「核兵器禁止条約」の文言に関しては、国連総会の下に置く作業部会で検討するとしていた「法的条文」に核兵器禁止条約が含まれるとの見方を示した。

 被爆地の自治体トップもそろって「極めて残念だ」とのコメントを出した。その上で、広島市の松井一実市長は今回の会議でオーストリアが提出した核兵器禁止の努力を誓う「人道の誓約」に100カ国超が賛同した点に「この流れを途絶えさせないために、全加盟国の参加の下に法的枠組みを議論する場を設けるよう努力し続けるのが重要だ」と訴えた。

 広島県の湯崎英彦知事は政治指導者らの被爆地訪問要請に代わる記述が加わった点に「今後の取り組みを進める上で心強い」と歓迎した。

(2015年5月24日朝刊掲載)

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