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シニア劇団「戦争伝える」 石見国くにびき18座 全国大会へ 68~86歳 体当たり 浜田

 演劇で反戦を訴える島根県西部のシニア劇団「石見国(いわみのくに)くにびき18(いちはち)座」が6月5~7日、仙台市である全国シニア演劇大会に出場する。68~86歳の団員15人が戦前戦後の記憶を伝える使命感を胸に、練習に励んでいる。(森田晃司)

 同劇団は、高齢者大学校シマネスクくにびき学園西部校(浜田市)の社会文化科18期生が2010年に結成。激動の昭和期をはじめ、地雷が使われた世界の民族紛争など戦争をテーマにした群像劇5作を、地元の演劇大会や小中学校で披露してきた。

 今回発表する「クスの葉風」は倒れる兵士、疎開する児童、戦災孤児たちの役を、メンバーが次々と着替えて演じる。母子が空襲に遭う場面では、赤い布を振ったり投げたりして戦火の激しさを表現した。戦災から再生したクスノキの「残酷な戦争を起こすのも、弱った命を救うのも人間。まだ人間に希望を持っている」とのせりふに、反戦の思いを託した。

 4月から同市内で週1、2日、練習を続けている。学徒動員先の呉市で空襲にあった本田カズエさん(86)=浜田市生湯町=は「思い出すと涙が出る。戦争の怖さを伝える機会があり、ありがたい」。

 同大会は13年に続く2度目の出場で、澄川雅是代表(70)=同市熱田町=は「素人集団ならではの一生懸命さで、平和の尊さを幅広い世代に訴えたい」と意気込んでいる。

(2015年5月24日朝刊掲載)

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