×

ニュース

「核兵器廃絶 市民の手で」国内外の識者ら提言 広島でシンポ

■記者 吉原圭介

 中国新聞社は2日、ヒロシマ平和メディアセンター開設を記念した国際シンポジウムを広島市中区の広島国際会議場で開いた。10周年を迎えた広島市立大広島平和研究所との共催。2010年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を2年後に控え、核兵器廃絶を促進させるため市民や都市などがとるべき行動を国内外の識者が提言した。

 420人の聴衆を前に、基調講演でパグウオッシュ会議会長のジャヤンタ・ダナパラ氏は「冷戦後の世界では市民が大きな力を持った。世界中の世論を動員すれば核政策を変えられる可能性が大きい」と指摘。対人地雷やクラスター爆弾の禁止条約にこぎつけたグローバルな市民活動の成功例を紹介した。

 軍縮非政府組織(NGO)の英国アクロニム研究所所長のレベッカ・ジョンソン氏は「核兵器廃絶を山に例えると、今私たちがいるのはふもとではなく頂上まであと2、3段階のところ。これからが正念場」と訴えた。

 両氏を交えたパネルディスカッションは、広島市立大広島平和研究所の水本和実准教授が司会。国際交流NGO「ピースボート」共同代表川崎哲氏は五月の「9条世界会議」の様子を紹介しながら「憲法九条を世界に広げることが核兵器廃絶に向けた日本の市民の大きな役割になる」との考えを示した。

 広島平和文化センター理事長のスティーブン・リーパー氏は2020年までに核兵器廃絶を目指す平和市長会議の「2020ビジョン」と、それを支えるヒロシマ・ナガサキ議定書の取り組みを紹介。中国新聞ヒロシマ平和メディアセンターの田城明センター長は核兵器に関する国際的なウェブアンケートの結果などを分析した。

 また、平和に関する取り組みをしている市民代表としてヒロシマピースボランティアの中本真樹さん(28)、長崎大の平和・環境ボランティアサークル代表山部倫照さん(22)、中国新聞「ひろしま国 10代がつくる平和新聞」のジュニアライターが活動報告をした。

 シンポジウムに先立ち、パネリストたちは原爆資料館を見学。原爆慰霊碑に花輪をささげた。

(2008年8月3日朝刊掲載)

年別アーカイブ