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「被爆の悲惨さ見てほしい」 NPT会議誘致 広島市長が意義強調

■記者 野田華奈子

 広島市の松井一実市長は8日の記者会見で、被爆70年の2015年に核拡散防止条約(NPT)再検討会議の誘致を目指す意義について「核兵器廃絶に向け、各国首脳に被爆の悲惨さを見てもらいたい」と語った。誘致が実現すれば、国連本部がある米ニューヨークと欧州本部があるスイスのジュネーブ以外では初開催となる。

 松井市長は「被爆の悲惨さを目の当たりにしてもらえれば理解が深まるんじゃないか。広島の原点を見てもらい、平和への思いを広げていく」と述べ、被爆地開催の重要性を強調した。検討を中止した2020年夏季五輪招致を例に挙げ「(同じように実現は)大変な話だが、希望をもってやりたい」とした。今後は長崎市と連携し外務省や国連に働き掛ける。

 再検討会議は5年ごとにNPTの運用状況を点検するために開かれ、1975年から8回を重ねてきた。2010年にニューヨークであった前回は「核兵器のない世界」実現を決意し、64項目の行動計画を柱とする最終文書を全会一致で採択した。

 このほか松井市長は旧市民球場(中区)、広島大本部(同)、広島県営広島西飛行場(西区)の三つの跡地について「トータルでどう連携させるかを考える」と述べ、広域的な視点で活用法を検討する意向を示した。

核拡散防止条約(NPT)
 核軍縮と核不拡散、原子力の平和利用を柱とする多国間条約で1970年に発効され、1995年に無期限延長された。核保有国を米国、ロシア、英国、フランス、中国に限定し、核軍縮交渉の義務を課す。一方で事実上の核保有国のイスラエル、インド、パキスタンは未加盟。北朝鮮は2003年に脱退を宣言した。

(2011年7月9日朝刊掲載)

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