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原発 科学的な議論を 広島大 市川教授が講演

■記者 下久保聖司

 福島第1原発事故で日本の原子力政策が論議を呼ぶ中、広島大大学院総合科学研究科の市川浩教授(科学技術史)が10日、広島市中区の広島大東千田キャンパスで、米国から原発が導入されるプロセスについて講演した。日本科学者会議広島支部の公開講座。約100人が聞いた。

 市川教授は、日本への原発導入は米アイゼンハワー大統領の「アトムズ・フォー・ピース(平和のための原子力)」演説(1953年12月)がきっかけとし「国際政治の動きと関係している」と強調。米国が原子力潜水艦向けに開発した軽水炉を発電用に応用し、60年代中盤から同盟国に売り込みを始めた過程も解説した。

 日米の政治的思惑や利権のほか、地方都市の原発関連補助金への依存体質も指摘。「これまで日本人は将来を真剣に考えなかった。科学的で正確な議論を続けてほしい」と呼び掛けた。

(2011年7月12日朝刊掲載)

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