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飯舘村長「早く再出発を」 中山間地域フォーラムがシンポ

■記者 山本洋子

 産学官の有識者でつくる中山間地域フォーラム(会長・佐藤洋平東京大名誉教授)は10日、福島第1原発事故で全村避難を指示されている福島県飯舘村の現状や支援の在り方を考えるシンポジウムを東京都文京区の東京大講堂で開いた。

 テーマは「『早期帰村』実現の課題」。研究者や市民ら約150人が参加した。飯舘村の菅野典雄村長は、スローライフと相互扶助を軸にした村づくりが畜産の廃業や家族の離散などで危機にある現状を報告。「絆を保ち、一日も早く再出発したい」と話した。

 菅野村長ら4人のパネル討論では、村で農家民宿を営む佐野ハツノさん(62)が「心豊かな暮らしは一変し、じっと過ごす避難生活はつらい。言葉にならない苦しみ」と強調。東京大大学院の溝口勝教授(土壌物理学)は、地表の放射性物質を広範囲で洗い流す手法を提案。「下流地域の理解を得て早く実施すべきだ」と述べた。

 同フォーラムは「専門分野を超えた幅広い支援を考えたい」としている。

(2011年7月12日朝刊掲載)

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