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ドームの絵 3000枚目前 被爆者・原さん 描き続け27年 8・6に節目の一枚

■記者 野田華奈子

 核兵器廃絶を訴え、原爆ドーム(広島市中区)を描き続ける被爆者の原広司さん(79)=安芸区=が近く目標の3千枚に到達する。描き始めて27年。被爆66年目の8月6日に節目の一枚を描き上げる。

 原さんは、広島県立工業学校(現県立広島工業高)1年生だった13歳の時に入市被爆。戦後は旧国鉄に勤めながら修学旅行生などに被爆証言を続けた。

 1984年、被爆体験を語る会を設立したのを機にドームを色紙に表現し始めた。週に数日、ドームの近くに座り、30センチ大の色紙に水彩で描く。春には桜、夏には夾竹桃(きょうちくとう)を添えるなど、四季の表情を切り取っている。

 原さんは「核と人類は共存できない。ドームが発するメッセージを伝えたくて」と話す。描いた絵を修学旅行生に見せながら、あの日の惨状を語り続ける。証言後は絵を学校に贈っている。

 2千枚を過ぎた2007年ごろから、子どもたちから「3千枚を目指して頑張ってください」と励まされるようになった。その期待に応えようとペースを速めた。

 13日は、2984枚目の色紙に絵筆を走らせた。あと16枚。原さんは「頑張って描けよとドームに励まされ、ここまできた。3千枚目も感謝と鎮魂の思いを込めたい」と決意する。今秋には自宅に保管する100枚以上の色紙の展示会を開く。

(2011年7月14日朝刊掲載)

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