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露船救助110年 節目盛大に 江津 ウラジオストク児童ら訪問 歌や料理で友好深める

 日露戦争の日本海海戦で損傷し、漂着したロシア艦イルティッシュ号の乗組員を島根県江津市和木町の住民が救出して110年になるのを記念した式典と、交流イベント「ロシア祭り」が31日、同市で開かれた。ロシアからも参加し、平和への思いを新たにした。(松本輝)

 ロシア・バルチック艦隊の特務艦だったイルティッシュ号は1905(明治38)年5月27日に被弾し、翌28日に同町北約4キロ沖の日本海に。ボートで海岸にたどり着いた200人を超える乗組員を住民が救助し、亡くなっていた人の慰霊碑を建てた。

 石央地域地場産業振興センター(同市嘉久志町)であった記念式典には、約300人が出席した。ナイリ・ラチーポフ在大阪ロシア総領事が日本語で「両国の友好は、善意に基づく住民同士の交流が大切」とあいさつ。ウラジオストクのドゥビニン記念学校の児童・生徒14人が民族衣装で、歌とダンスを披露した。

 午後から和木公民館(同市和木町)であったロシア祭りでは、ピロシキやボルシチなどが、参加者約100人に振る舞われた。

 祭りでも歌とダンスを披露したアイギューリ・オフチニコワさん(13)は「和木町の皆さんには感謝しています。これからも交流を続け、日本とロシアの懸け橋になりたい」と話していた。

 ロシア祭りは、1906年に戦勝記念として始まったが、太平洋戦争後は日ロ間の友好を深め、戦争根絶への思いを地域で受け継ぐイベントに変化し、89年以降は毎年開く。救出から110年の節目となることしは同町の住民で記念事業実行委員会(河行宣広委員長)を結成。祭りに加え、記念式典の開催を決めた。

(2015年6月1日朝刊掲載)

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