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5県で市町村に説明 原発ごみ処分場選定 エネ庁 非公開に批判の声

 原発から出る核のごみ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場選定をめぐり、経済産業省資源エネルギー庁は今週、中国地方の5県で市町村を対象とした非公開の説明会を開く。政府が5月に閣議決定した最終処分の新しい基本方針を説明する狙い。エネ庁は日程などを含め開催自体を公表しておらず、市民団体から批判の声も出ている。

 1日は山口市のホテルで開いた。出席者によると、エネ庁放射性廃棄物等対策室と中国経済産業局、電力会社などが出資する原子力発電環境整備機構(NUMO、東京)から計4人が参加。新しい基本方針や、核のごみを地中深くに埋める地層処分などを紹介した。自治体側は約20人が参加。地層処分の安全性などについて質問が出たという。

 原発に反対する上関町民の会の三家本誠共同代表は「県民の知らないところで進められれば疑心暗鬼になりかねない」と非公開での開催を批判する。

 2日は岡山市北区で開く。岡山県は「国の政策を把握する必要がある」として担当者を派遣する。県によると、エネ庁は開催日時や会場、参加市町村を公表していないという。エネ庁は開催について「担当者がいないので答えられない」としている。

 市民団体「さよなら原発1000万人アクションin岡山実行委員会」は1日、放射性廃棄物の受け入れを拒否するよう岡山県に申し入れた。奥津亘代表は「ウラン採掘をしていた人形峠などが国から有望地とされる懸念がある。説明会は少なくとも公開とするべきだ」と訴えた。

 広島市中区では2日に説明会がある。中国電力の島根原子力発電所が立地する松江市では3日に開催。倉吉市でも3日に予定されており、非公開とする点について、国から「静かな環境で」という趣旨の説明があったという。

 最終処分場の選定は従来、自治体が応募する方式だった。進展がないため政府は5月、火山や活断層を避けた「科学的有望地」を国主導で提示する基本方針を閣議決定。自治体対象の説明会を全国で順次開く。別に、一般向けのシンポジウムも予定している。(永山啓一、村田拓也)

(2015年6月2日朝刊掲載)

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