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ヒロシマ案内 英語OK 市観光ガイド協 研修重ね独自育成

 広島市観光ボランティアガイド協会(100人)が、原爆被害の実態を英語で伝えられるガイドを独自に育て、平和記念公園(中区)で外国人旅行者向けに案内を始めた。被爆70年のこの夏、「核兵器なき世界」の実現へ、ヒロシマ発信の一翼を担う。(菊本孟)

 協会会員で、被爆者の伊藤太郎さん(74)=西区=は先日、フランス人の男女2人をガイドした。原爆ドーム対岸では、熱線、爆風、放射線で市民や街を痛めつけた原爆の怖さを説明。原爆慰霊碑の前では、約29万人の死没者の名前を書き込んだ名簿について伝え、被爆した古田町(現西区)の自宅で見た「黒い雨」の話もした。質問にも英語で答えた。

 伊藤さんは英語で時折詰まりながらも身ぶりや手ぶりも交えて説明。リバティ・ドゥベルゲさん(26)は「理解が難しいところもあったけど、ガイドブックを見るだけよりも理解が進む」と歓迎した。

 原爆資料館によると、2014年度の外国人入館者数は23万4360人で、04年度から約2倍に増えた。市が把握する平和記念公園のガイド10団体のうち、平和のためのヒロシマ通訳者グループ(HIP)が外国人向けに対応。他に自前での養成を目指す動きがある。

 市観光ボランティアガイド協会は会員から希望者を募り、昨年7月からことし3月まで約20回の研修で、発音や日常会話を特訓。全課程を終えた伊藤さんたち5人と、もともと英語が話せる10人を加えた計15人で、旅行会社などを介した依頼に応じて外国人の案内を始めた。

 金子貴佐子会長(68)は「8月6日にしっかり案内できるように経験を積みたい。英語を話せるガイドをもっと増やす」。さらに研修を企画するという。ガイド1人につき交通費千円が必要。同協会Tel082(247)6739=平日午前10時~午後4時。

(2015年6月2日朝刊掲載)

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