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原爆症認定 国が控訴 白内障女性の判断 基準の範囲外

 原爆症認定申請を国に却下された白内障の被爆者2人を原爆症と認めた広島地裁判決について、厚生労働省は1日、2人のうち広島市安佐南区の女性(70)の判断を不服として控訴した。

 女性は、爆心地から2・4キロで被爆。厚労省が原爆症と認める白内障の認定基準の「約1・5キロ以内」の範囲外だった。地裁は、女性が放射性降下物を含む「黒い雨」に打たれたことなどを理由に「健康に影響があり得ると認めるのが相当」と判断。同省は控訴理由を「黒い雨による被曝(ひばく)の影響を過大視している」とした。

 また、同じく白内障で認定された中区の男性(80)については、申請後に男性が受けた目の手術を地裁が認定の判断材料にした点を踏まえ、控訴を断念した。厚労省は月内にも自治体の認定作業を見直し、被爆者が申請後に手術などをした場合、追加で申告し、審査に反映できるよう改善する。(藤村潤平)

(2015年6月2日朝刊掲載)

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