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つなぐ~戦後70年 被爆男性 「体験伝えねば」 ゆだ苑・山口県立大 聞き取り開始

 被爆者の個人史を記録する山口県原爆被爆者支援センターゆだ苑(山口市)と県立大(同)の取り組みで、被爆者への聞き取りが2日、県立大で始まった。山口市下小鯖の増原博さん(88)が被爆体験やその後の人生を話した。

 増原さんは下松市出身。1945年、19歳で召集され、原爆投下5日前に広島市の陸軍工兵隊に入った。爆心地から約2キロ北の工兵隊兵舎(広島市中区)で被爆した。

 「何百台ものカメラのフラッシュをたいたような白い光に包まれた」。兵舎の下敷きになったが一命を取り留め、同年10月まで焼け野原となった同市内で遺体の回収などに当たったという。

 その後、県警入り。刑事として火事現場に行くと当時の臭いを思い出してつらかったという。「核兵器禁止までの道のりは遠いが、体験した者が伝え続けなければならない」と訴えた。

 社会福祉学部3年平田まりさん(20)は「悲惨な話。受け継いでいかなければと感じた」と話した。

 聞き取りは3年かけて取り組み、本年度は9人を予定する。学生が文章にまとめ、ゆだ苑職員が動画撮影をする。記録の一部はゆだ苑のホームページに順次掲載していく。(柳岡美緒)

(2015年6月3日朝刊掲載)

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