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ヒロシマ3画家 命描く 広島の泉美術館 被爆70年で特別展

 特別展「ヒロシマ70 入野忠芳・香川龍介・田谷行平/入野忠芳の遺作とともに」が4日、広島市西区の泉美術館で始まった。それぞれの流儀で被爆体験や生きることに向き合ってきた画家3人の51点。被爆から70年の節目に、命の尊さを語り掛けてくる。

 2013年に73歳で亡くなった入野さんの代表作「裂罅(れっか)」「風成」シリーズなどを軸に、香川さん(83)と田谷さん(73)の新作が並ぶ。入野さんが自らの被爆体験を題材にした絵本「もえたじゃがいも」の原画や被爆樹を描いた墨彩画を集めたコーナーもある。

 3氏は、被爆50年に広島県内6会場で「ヒロシマ50」展を、05年には「ヒロシマ60―消失と生成」展を広島市で開いたメンバー。身が引きちぎられるような表現で命の崩壊と生成を昇華させた入野さん。多彩な色と形で生きる喜びを伝える香川さん。深い黒の世界に痛みや祈りを託す田谷さん。志が共鳴し、来場者を引きつけている。

 この日は、入野さんの妻泰子さん(64)と香川、田谷両氏たちによる講演もあった。同館と中国新聞社の主催で、7月12日まで。月曜休館。(森田裕美)

(2015年6月5日朝刊掲載)

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