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武蔵46センチ砲 発射の瞬間 乗員遺族が写真保管 呉で来月展示

 戦艦大和の2番艦として建造された戦艦武蔵とみられる軍艦が主砲を発射する瞬間を捉えた写真を、武蔵の初代砲術長だった永橋爲茂(ためしげ)さんの遺族が保管していた。世界最大の46センチ砲の威力を示す珍しい資料。呉市の大和ミュージアムが7月に開く企画展でパネル展示する。

 モノクロで縦7・5センチ、横10・5センチ。左舷側から発射する様子を艦尾方向から捉えている。船体よりも大きな爆煙が上がっているのが目を引く。大和ミュージアムの戸高一成館長(67)は「艦橋の形は間違いなく大和型。写真の所有者から考えて武蔵の可能性が高い」とみる。

 永橋さんの次男爲親(ためちか)さん(85)=神奈川県逗子市=が数年前、自宅の資料を整理していて見つけた。発射に立ち会ったという永橋さんは生前、爲親さんに「大変な爆発だった。軍艦がぐらぐら揺れた」と当時の様子を語っていた。1942年8月の就役直前の7月、伊予灘で実施した試験の様子とみられる。

 射程約41キロに及ぶ46センチ砲の発射の瞬間を撮影した写真は大和を含めて唯一。ことし2月、ミュージアムが爲親さんからデータ提供を受けた。企画展は7月1日に始まる。爲親さんは「多大な犠牲者を生んだ戦争の悲惨さを写真から感じとってほしい」と願う。

 武蔵は三菱重工業長崎造船所(長崎市)で建造された。44年10月24日、レイテ沖海戦で米軍機の攻撃を受け沈没。米国の資産家がことし3月、フィリピンのシブヤン海の潜水調査で武蔵とみられる船体が海底に沈んでいるのを発見した。(小島正和)

(2015年6月7日朝刊掲載)

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