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8・6平和宣言 広島市骨子案 「被爆者の声に説得力」

■記者 野田華奈子、藤村潤平

 原爆の日の8月6日の平和記念式典で松井一実広島市長が読み上げる平和宣言について、引用する被爆体験を選定する委員会(委員長・松井市長)は19日、市が提示した骨子案を了承した。委員からは「被爆者の生の言葉で説得力がある」との意見が多かった。

 被爆者や学識経験者たち全委員10人が出席した。前回の議論を踏まえて市が骨子案をまとめ、提示した。被爆者から公募した体験談は2人の文章を引用するほか、国にエネルギー政策の見直しを求める内容となった。

 議論は非公開で行われ、全体の構成や原発に関する記述への異論はなかった。原発事故が起きた福島の人たちを思いやる言葉を盛り込んではどうかなどの提案があったという。選定委の会合は今回で終了する。

 会合後、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)日本支部長の碓井静照委員は「被爆の実態と平和の尊さ、核兵器廃絶の訴えを継承しながら、被爆者の生の声を集め読んで感動する内容」と話した。映像作家の田辺雅章委員は「被爆者の心が的確に表現されている。身近で気負いがない平和宣言になる」と好意的に受け止めた。

 国へのエネルギー政策の見直しに関し、委員の一人は「国に責任ある態度を取るよう強く求めており、いいと思う」と評価。一方、脱原発に踏み込まなかった姿勢に、別の委員は「市民の意向をきちんと反映しているのかどうかは疑問が残る」と指摘した。

(2011年7月20日朝刊掲載)

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