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黒い雨研究 HPで公開 広島市、英語と日本語版

■記者 金崎由美

 広島市は、原爆がさく裂した後に「黒い雨」など放射性降下物が広がった範囲を解明するための研究成果を論文集にまとめ、ホームページ(HP)で公開した。全文を収録した英語版と、要約した日本版がある。

 市は2010年度、放射線物理学、地球化学、原子力工学などの専門家に呼び掛けて協議会を設置。未解明な部分が多い「黒い雨」の研究やデータ集めに取り組んでいる。その成果を広く国内外に伝える目的で公開した。

 千葉工業大工学部の小泉俊雄教授は、原爆投下前後に米軍が撮影した航空写真から、焼失した建物一軒一軒の大きさや材質を特定。気象研究所の青山道夫主任研究官たちは、被爆後に建物が燃えた際に放出された熱や炭素の量を見積もった。上昇気流が巻き上げたすすの量や雨雲の形成状況を推定する基礎データになるという。

 「黒い雨」の降雨範囲について、広島市は聞き取り調査などから国が被爆者援護策の対象とする地域より広い範囲で降ったと推定。今回論文集にした研究成果を科学的な裏付けにつなげる考えだ。

 HPはhttp://city.youth-service.com/

(2011年7月20日朝刊掲載)

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