×

ニュース

被爆の実相 心に刻む 東南アジア各国の若手職員 広島で研修 ユニタールが招待

 国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所(広島市中区)は8日、東南アジア各国政府の外交担当の若手職員を招き、核軍縮をテーマにした初の研修会を広島市で始めた。人材育成などを目的とした被爆70年記念事業の一環で、12日まで世界の核兵器の現状や課題を教える。

 マレーシアやフィリピンなど5カ国の10人が参加。初日は、広島市役所に松井一実市長を訪ねた後、中区の広島国際会議場で、8歳の時に爆心地から2・4キロの自宅近くで被爆した小倉桂子さん(77)=中区=の体験談を聞いた。「被爆の実相を知り、たくさんの人に伝えてほしい」との呼び掛けに、参加者はうなずきながら聞き入っていた。

 5日間の研修では、座学や放射線影響研究所(南区)訪問で核軍縮や核不拡散に貢献するための知識や技能を学ぶ。タイ外務省のナタ・ワサンタシンさん(28)は「広島で何が起きたのかをしっかり見聞きして帰りたい」と話していた。

 研修の講師役を務めるストックホルム国際平和研究所(スウェーデン)のタリク・ラウフ氏たちがパネリストを務める公開セッションも、10日に広島国際会議場で開く。「核軍縮の最前線から~現状と展望」をテーマに、市民の役割などを考える。(新谷枝里子)

(2015年6月9日朝刊掲載)

年別アーカイブ