×

ニュース

丸木夫妻の絵 状況確認 広島市現代美術館 来月から公開修復

 被爆70年に合わせて広島市現代美術館(南区)が、所蔵する丸木位里・俊夫妻の「原爆―ひろしまの図」を7月から公開修復するのを前に、修復を担う専門家2人が7、8の両日、同館を訪れて保存状態を調べ、修復方法を検討した。

 吉備国際大(高梁市)の馬場秀雄教授と棚橋映水(えみ)講師。被爆の惨状を表した本作は1973年に制作され、縦約4メートル、横約8メートル。4枚のパネルになっているうちの1枚を修復する。

 馬場教授たちは墨や岩絵の具が経年変化で破裂したようにめくれた部分を約20カ所確認。部分ごとの修復方法や手順を決めるため、面相筆で膠(にかわ)を塗り、剝落を抑えるなどして試した。

 2人は「全体の状態はいいが、部分的な傷みがひどくならないうちに抑えておく必要がある。オリジナルの芸術性と心象性を大切に取り組みたい」と話した。

 作品は、広島市が丸木夫妻に制作を依頼し、現在の原爆資料館東館に常設展示されていたが、89年に所管が同美術館へ移った。

 同美術館地下のスタジオで、7月18日から9月27日にかけて公開修復する。(森田裕美)

(2015年6月9日朝刊掲載)

年別アーカイブ