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校庭など活動制限 年間放射線量 5ミリシーベルトへの見直し提言

■記者 荒木紀貴

 子どもの被曝(ひばく)対策などをめぐって政府を批判し、4月末に内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘東大教授(放射線安全学)が20日、衆院文部科学委員会の委員の勉強会で講義した。校庭などでの活動制限について、年間の積算被曝放射線量が20ミリシーベルトに達するかを基準にするのではなく、同5ミリシーベルトで判断すべきだと提言した。

 小佐古氏は勉強会で、東京電力福島第1原発事故の安全確保の課題を列記した文書を配布。積算線量が年20ミリシーベルトになると想定される場合に、校庭などでの活動を1日1時間程度に限るとする政府の対応を批判し「5ミリシーベルトを目安に」と求めた。

 根拠としては、国際放射線防護委員会が、事故後の長期汚染地域の線量限度を年間最大10ミリシーベルトと勧告していると主張。「放射線で誘発される致死がんの発生は子どもの方が成人より2~3倍高い」とされる点も踏まえ、上限の半分に当たる5ミリシーベルトが適当と判断した。

 勉強会は、文科委の田中真紀子委員長が呼び掛け、全40委員のうち民主、自民、共産の計20人が出席し、非公開で小佐古氏の講義を聴いた。小佐古氏は終了後、記者団の取材に応じ、昨年の原発労働者の年間線量が平均で1.5ミリシーベルトだったとし「(20ミリシーベルトは)異様に高い」と指摘した。

 一方、福山哲郎官房副長官は記者会見で、年間1ミリシーベルト以下を目指すとの目標を示し直したと反論。「20ミリシーベルトを目安に線量をできる限り減らしていくと、ずっと説明している」と述べた。

校庭などの使用制限
 文部科学省は4月、年間の積算被曝放射線量が20ミリシーベルトとなる放射線量(毎時3.8マイクロシーベルト)を基準として示したが、保護者らが強く反発。5月に、基準を維持した上で「年1ミリシーベルト以下を目指す」との目標を設定し、表土の入れ替えなどを進めている。

(2011年7月21日朝刊掲載)

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