×

ニュース

被爆70年の祈り 筆先に 広島 原爆死没者名簿 記帳始まる

 広島市は10日、原爆死没者名簿の記帳を始めた。昨年8月6日以降に亡くなったり、新たに死亡を確認したりした被爆者の名前を書き加え、被爆70年の原爆の日に平和記念公園(中区)で営む平和記念式典で、原爆慰霊碑の石室に納める。

 市が把握している新たな死没者は今月10日までで2707人いる。この日、ともに被爆者で元市職員の池亀和子さん(73)=南区=と、中本信子さん(72)=同=が市役所で作業に着手。手を合わせて黙とうした後、筆で名前や死没年月日、年齢を記していった。

 15年連続で記帳を担う中本さんは「年齢を見て亡くなった方の被爆当時を想像しつつ、平和への祈りを込めて書きたい」と話した。2人は今後、自宅に名簿を持ち帰り、作業を続ける。

 昨年8月5日までに名簿に載った広島原爆の死没者は29万2325人で計106冊。ほかに「氏名不詳者多数」とだけ書かれた1冊と、長崎原爆の死没者9人の名前を記した1冊もある。市は8月5日午後5時まで、名簿の登録申請を受け付ける。原爆被害対策部調査課Tel082(504)2191。(高本友子)

(2015年6月11日朝刊掲載)

年別アーカイブ