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原爆投下後に臨時救護所 旧被服支廠の雑草除去

■記者 増田咲子

 広島市南区出汐にある旧広島陸軍被服支廠(ししょう)で被爆した元動員学徒が呼び掛け、市民ボランティアら13人が20日、赤れんがの建物を覆うように伸びていた雑草を刈った。

 呼び掛けたのは、広島高師(現広島大)付属中4年の時に被爆し、原爆資料館で証言活動を続けている中西巌さん(81)=呉市。西区のNPO法人HPS国際ボランティアのメンバーらと約2時間かけ、背丈まで伸びた雑草を鎌や電動草刈り機で刈った。

 中西さんは「建物の敷地内は十数年前から雑草が生い茂り、ここで亡くなった多くの人に申し訳ないと思ってきた。原爆の日が近づく中、せめてものことをしたかった」と汗をぬぐい、作業後は全員で黙とうをささげた。

 1913年に完成した被服支廠は被爆直後は臨時救護所となり、多数の負傷者が運ばれた。戦後は運送会社の倉庫として使われたが95年に終了。4棟は活用策が決まらないまま県が管理している。

(2011年7月21日朝刊掲載)

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