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5人に1人が核兵器保有容認 広島県内の大学生

■記者 吉原圭介

 広島県内の大学生236人に平和についてアンケートをしたところ、日本の核兵器保有について容認派が21%おり、核兵器廃絶を「不可能」とした人が62%にのぼった。県内を中心にした大学生でつくる特定非営利活動法人(NPO法人)ドットジェイピー中国支部が7月に調査、分析した。

 アンケートに答えたのは広島大(119人)広島市立大(76人)広島修道大(35人)近畿大工学部(6人)。同支部のメンバーが通う大学で友人たちにアンケート用紙を渡し、協力を求めた。県内出身者は137人(58%)で県外が99人だった。

 核兵器保有について「本当は持たない方がよいが、外交戦略として持つことは仕方ない」(41人、17%)が「持つべきだ」(10人、4%)と合わせ51人(21%)にのぼり、5人に1人は保有を認めている。

 核兵器廃絶は、「不可能」が147人(62%)。「できる」(52人、22%)の3倍近くを占めた。  一方で、広島に原爆が投下された日時を正確に答えられたのは127人(53%)と低迷。県内出身者内でも正解率は53%だった。長崎について正確に答えたのは29人で全体の12%だった。

 ドットジェイピー中国支部で広報を担当する、広島市立大国際学部2年、森彩香さん(19)は「広島の学生の原爆に関する知識が予想以上に低く、核兵器に対する嫌悪感が少ないことに驚いた。基本的な平和教育を大学でもする必要があると感じた」と分析している。

平和教育が形式化
広島市立大広島平和研究所の水本和実准教授の話
 広島でこの数字だと、県外はもっとひどいだろう。今の学生は日本の外交政策を無批判に受け入れる傾向にある。核兵器に対するきちんとした情報が与えられず、高校までの平和教育が形式化していることが背景にある。現代にいたる歴史の中で、核問題を考えることができなくなっているのではないか。

(2008年8月3日朝刊掲載)

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