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つなぐ~戦後70年 原爆の絵 データ化し活用 若年被爆者の証言補う 山口市被害者の会

 山口市原爆被害者の会は、被爆者が描いた絵や当時の広島、長崎の地図を画像データにして語り部活動に活用する取り組みを始める。被爆時に乳幼児だった被爆者たちが証言をする際の補完資料とする。13日、山口市で開いた会合で作製した画像データを会員に披露した。

 県内の被爆者が描いて県原爆被爆者支援センターゆだ苑(山口市)に寄贈した水彩画8枚。印刷会社に依頼し画像データにした。

 そのうちの1枚には原爆投下直後の広島市中心部に、呉海兵団救護隊長として入り被爆した男性(故人)が目撃した惨状が描かれている。髪が逆立ち服がぼろぼろに破れて道に倒れている人や目をむいた馬と共に「一瞬にして生物すべてが全滅する 家庭も社会も文明もなくなる」との思いが記されている。

 同会は、被爆時に0~5歳だった若年被爆者や被爆2世たちが語り部となるための勉強会を2011年12月から開始。当時の記憶が少ない人が証言する際、絵などを補完資料に役立てるアイデアが出された。被爆70年の取り組みで、持ち運びしやすくモニターに映し出せるようデータ化することにした。

 田中敏彦会長(72)は「被爆者が高齢化する中、私たちのような若年被爆者こそが資料を活用し被爆の実態や核兵器廃絶への思いを伝えていきたい」と話した。(柳岡美緒)

(2015年6月14日朝刊掲載)

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