×

ニュース

千羽鶴から折り紙再生 広島の障害者支援施設 製品化 交流にも一役

 折り鶴から折り紙、再び鶴へ―。障害者支援施設「はぐくみの里」(広島市東区)が、平和記念公園(中区)にささげられた千羽鶴を折り紙に再生して、7月1日から販売する。さらに、生まれ変わった折り紙で鶴を折って平和への思いを、ともに紡ぎ続けたいと、市内の小学校などで一緒に鶴を折る活動にも取り組む。(二井理江)

 以前から公園内の千羽鶴の分類、解体作業をしてきた同施設の利用者たち。折り鶴を開いた時に「広島・長崎の悲劇を二度と起こさないように」「平和の鐘がずっと続くように」などと書かれたメッセージを読み、鶴に託された思いを受け止め、発信したいと考えるようになった、という。

 職員たちが折り紙への再生を発案。デザイン性も重視し、赤や青、8色混合など8種類の紙を3枚ずつセットにした「カラータイプ」、元の折り鶴の色が無数に小さく散らばる「全無地タイプ」の2種類を製品化。いずれも400円で、東急ハンズ広島店(同)やひろしま美術館(同)などで販売する。

 加えて、利用者や職員が広島市内の小学校などを訪問。子どもたちと鶴を折ったり、再生紙にする鶴を開いたりする。広瀬小(同)の放課後児童クラブでは、施設の職員や利用者計8人と、1~4年の60人が一緒に鶴を折った。1年小幡優美子さん(7)は「心のこもった折り紙だと教えてもらった。原爆が落とされませんようにって2羽作った」と話していた。鶴は8月3日に同小で営まれる原爆死没者慰霊式の時に供える予定。今後、基町小(同)や東急ハンズ広島店でも児童や来店者と鶴を折る。

 「折り鶴になると思うとやりがいがある」と千羽鶴を開く作業をする男性利用者(39)。松本勝司施設長(43)は「込められた思いを受け継いでいくという誇りを持ってできる仕事。平和活動につながっていくのがいい」と話す。協賛企業も募集している。同施設Tel082(289)6088。

(2015年6月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ