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広島市街地 被爆6年前 地図を復刻 南区の古書店

■平和メディアセンター編集部長 西本雅実

 被爆6年前の広島市の街並みを詳しく表した市街地図が、南区の古書店「あき書房」から復刻された。東京交通社が1939年に発行した「大日本職業別明細図」。当時七つの川が流れ「水の都」とも呼ばれた広島デルタの姿がつぶさに描かれ、全国7番目の都市だった戦前の広島が浮かび上がってくる。

 地図は縦54センチ、横78センチ。3色刷りの表には町名・番地が入った道筋に官公庁や学校、寺社、事業所、商店の名称を詳しく記し、広島城や県産業奨励館(後の原爆ドーム)など当時の名所の写真も添えている。裏面は職業別の広告を住所入りで載せている。約32万7千人が暮らしていた。

 常磐大(茨城県)の河野敬一教授の「大正・昭和前期の職業別明細図」によると、東京交通社は21年から全国的に市街地図の刊行を手掛け、当時の街並みの状況をかなり正確に再現しているという。

 あき書房を営む石踊一則さん(64)が東京の古書即売会で入手し、原寸大で千部を復刻した。広島県立図書館などが所蔵する被爆前の他の広島市街地図と比べ、数多くの事業所、商店が載っているのが特徴だ。一部1050円。あき書房Tel082(255)1916。

(2011年7月24日朝刊掲載)

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