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つなぐ~戦後70年 徳山空襲記録 DVDに再編 「ビデオをつくる会」の兼重代表 米軍映像や証言を集録

 1945年の徳山空襲の悲劇を伝えるDVD「語りつぐ徳山空襲」を、「徳山空襲のビデオをつくる会」代表の兼重寛さん(88)=周南市泉原町=が500本作った。米軍が撮影した映像や空襲体験者の証言を盛り込む。兼重代表は「戦後70年の今こそ、子どもたちに空襲のことを知ってもらいたい」と話す。

 徳山空襲は、海軍燃料廠(しょう)などが標的となった45年5月10日と、市街地が焼夷(しょうい)弾爆撃された同年7月26日深夜から27日未明にかけての2度に及んだ。死者は計約千人とされる。

 兼重さんは徳山高専元教授の工藤洋三さん(65)たちと84年に「徳山の空襲を語り継ぐ会」をつくり、証言集を刊行。語り継ぐ会の解散後、米軍が撮影した空襲のフィルムを旧徳山市教委が購入したのをきっかけにビデオをつくる会を結成した。

 壊滅状態になった市街地の様子などの映像とともに、体験者への聞き取りなどを98、99年に計3本のビデオにまとめ、市内の小中学校などに寄贈した。

 ところが約3年前、「小学生の孫から『徳山空襲のビデオを見たことがない』と聞いた」と兼重さん。AV機器が更新され、寄贈ビデオを見ることができる設備のない学校が増えた。そこで戦後70年に合わせ、DVD化を決意。業者に依頼し、ビデオ3本をDVD1枚に再構成した。

 兼重さんは45年4月、海軍に入隊。終戦を鹿児島県の鹿屋海軍航空隊で迎えた。使用済みの薬きょうから火薬を集めて、手りゅう弾を造る作業に従事していた。

 兼重さんは「徳山には悲惨な戦争の歴史がある。語り継ぐため、平和教育に生かしてほしい」と願う。DVDは周南市や下松市の小中高校に贈った。一般販売もする。千円。兼重さんTel0834(21)5396。(滝尾明日香)

(2015年6月17日朝刊掲載)

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