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『フクシマとヒロシマ』 甲状腺 18歳以下は生涯検査 避難区域

■記者 下久保聖司

 福島第1原発事故を受けた福島県の県民健康管理調査検討委員会は24日、事故当時に0~18歳だった県全域の約36万人に対し、生涯にわたって甲状腺検査をすることを決めた。また避難区域の約20万人には血液検査のほか、心的外傷(トラウマ)についてアンケートするなど、放射性物質の影響が特に懸念される住民に対する詳細調査の内容を決めた。

 委員会は福島県庁であり、放射線の専門家ら8人が出席した。広島からは放射線影響研究所(放影研、広島市南区)の児玉和紀主席研究員と、広島大原爆放射線医科学研究所(原医研)の神谷研二所長が参加した。

 超音波による甲状腺検査の第1弾は、10月から2014年3月までに実施。その後も原則2年ごと、20歳以降は5年ごとに続ける。  避難区域の約20万人への血液検査は、通常の集団健診に併せて行い、事故のトラウマを尋ねる調査票も送る。最近1年間で母子健康手帳を申請、取得した県全域の約2万人に対しては、何に不安を感じているかなどをアンケートする。

 委員を務める放影研の児玉主席研究員は「今後は、がん登録制度が必要」と指摘。原医研の神谷所長も「広島のこれまでの経験をぜひ参考にしてほしい」と求めた。

 福島県は8月から、被曝(ひばく)線量推定のため、約200万の全県民に事故後の行動を尋ねる質問票の送付を始める予定。この日の委員会で県は、県民に健診結果などを記録してもらうノート形式の「健康管理ファイル(仮称)」を作る考えも示した。

(2011年7月25日朝刊掲載)

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