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戦後復興の20年たどる 山口で写真展 被爆者や孤児 48枚

 山口市亀山町の県立美術館で、敗戦から復興へと進む約20年の時代を、戦争孤児や広島と長崎の被爆者、元軍人たちの姿を通じて伝える収蔵写真の展示「<戦後>の写真」が開かれている。28日まで。

 周南市出身の林忠彦(1918~90年)や柳井市の福島菊次郎さん(94)たち男女5人の写真家が、終戦翌年の1946年から65年までの間に撮影した白黒写真48枚を並べる。

 林の作品は東京の終戦直後の暮らしを映す。三宅坂にあった陸軍参謀本部の跡地で遊ぶ戦争孤児や国会議事堂のそばに立つ傷痍軍人、きょうだいを背負ってはだしのまま教室で学ぶ児童の姿は、復興の陰で続く貧困を映し出す。

 福島さんの作品は広島の被爆者の家族を追った写真。被爆の後遺症に悩まされる父を娘たちが支える様子を撮影し、原爆がもたらした苦しみを生きた家族の姿を伝える。

 同館の河野通孝学芸課長(52)は「戦後の写真は生々しい戦争の傷痕を切り取り、世の中に訴えるというテーマから始まった。多くの人に見てほしい」と話している。一般300円、学生200円、70歳以上と18歳以下は無料。(柳岡美緒)

(2015年6月20日朝刊掲載)

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