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福島県立医科大と協定 放影研 疫学調査の蓄積生かす

■記者 衣川圭

 放射線影響研究所(放影研、広島市南区)の大久保利晃理事長は27日、福島県立医科大(福島市)と教育研究に関する協定締結に合意したことを明らかにした。8月中にも調印する。被爆者団体や行政、医療関係者の意見を聞く「広島地元連絡協議会」(会長・浅原利正広島大学長)で報告した。

 放影研が広島、長崎の原爆被爆者を対象にしてきた疫学調査などの蓄積を生かす。大久保理事長は協議会後の記者会見で「放影研は緊急時に出動できる組織ではないが、これからは役に立てる。福島県側の要請に応じてノウハウを提供したい」と話した。人材交流を視野に入れた協定になる見通しという。

 また大久保理事長と浅原会長は持続的な低線量被曝の影響を調べ、健康管理や臨床治療に生かすための研究センターを福島県に設置する必要性を訴えた。

 協議会には委員12人が出席。これまで放射線の影響がないとみられていた被曝線量5グレイ以下でも白内障が発生するなどの研究結果や、被爆2世についての長期調査を昨年11月に始めたことについての報告もあった。委員からは、放影研の市街地移転を早期に進めるよう求める意見が出た。

(2011年7月28日朝刊掲載)

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