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3Dプリンター 原爆ドーム再現 安田女子大生が模型 データ公開「教材に」 広島

 世界遺産の原爆ドーム(広島市中区)を通じて原爆被害の悲惨さを伝えようと、安田女子大(安佐南区)の学生たちが3Dプリンターでドームの模型を作った。前身の広島県物産陳列館として完成し100年を迎えたのを機に製作。大学のホームページ(HP)で模型のデータを公開している。「被爆70年でもあり、各国で平和教育の教材として使ってほしい」と期待している。

 模型のサイズは、100分の1(高さ約16センチ)と200分の1(同約8センチ)の2種類。被爆で壁や屋根が崩れ、鉄骨がむき出しになった姿を緻密に再現した。製作したのは、現代ビジネス学部の染岡慎一教授(56)=映像メディア=と学生12人。染岡教授が4月末にカメラ型の「3Dスキャナー」でドームを測量し、そのデータを基に、学生が3Dプリンター用のデータに加工し、模型を完成させた。

 5月に400分の1の3D模型を製作した被爆前の県産業奨励館のデータも公開している。無料でダウンロードでき、3Dプリンターがあれば製作できる。

 HPでは、ドームの歴史や世界遺産に登録された経緯などを紹介する年表も制作し、近く英語と中国語版も公開する予定という。

 「原爆ドームを見たことがない国内外の方に模型を見て触ってもらい、被害の恐ろしさをリアルに感じてほしい」と3年脇智子さん(21)=安佐南区。染岡教授は「各国の子どもたちが核兵器廃絶や平和を考えるきっかけにしてほしい」と話している。URLはhttp://www.yasuda-u.com/zoukei/(原未緒)

3Dプリンター
 3次元のデータに基づき、プラスチックや金属の粉末などを層状に重ねて立体物を作る装置。樹脂を溶かして造形するのが一般的で、自動車や航空機の部品や人工骨などの医療器具、美術品の保存など多方面での活用が期待されている。5万~10万円程度の家庭用から数千万~1億円の業務用まで製品の種類は幅広い。

(2015年6月22日朝刊掲載)

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