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核兵器禁止 条約交渉開始へ議論 国連軍縮長野会議 原子力の平和利用も

■記者 岡田浩平

 国連軍縮会議は28日、長野県松本市のホテルで国内外の政府関係者や有識者による全体会合を続けた。核兵器禁止条約の交渉開始の道筋や、福島第1原発事故を受けての原子力の平和利用に関して意見を交わした。

 核兵器禁止条約の討議では、実現を求める立場から非政府組織(NGO)ピースボートの川崎哲共同代表が発表。「交渉開始は核兵器を持たない世界の規範作りに役立つ」と述べ、核拡散防止条約(NPT)に非加盟の保有国も巻き込んだ軍縮の強化につながるとした。

 インドネシアのグスティ・プジャ・ウィーン国際機関常駐代表はNPT発効後も軍縮への進展がないと批判。「軍縮の包括的アプローチ」を求めた。

 一方で、廃絶を検証できるのか▽保有国が賛成していない―などと早期の交渉開始に懐疑的な意見も相次いだ。米国の「核の傘」に依存し、条約にも慎重な日本政府の態度に疑問も上がった。

 原子力の平和利用の討議では、内閣府原子力委員会の鈴木達治郎・委員長代理が社会福祉への寄与などを原子力利用の条件とし「もう一度検証する必要がある」と発言。松本市の菅谷昭市長は旧ソ連のチェルノブイリ原発事故後に現地で医療支援をした経験を踏まえ「これ以上原発を造るべきでない」とエネルギー政策の転換を訴えた。

 このほか、兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の交渉入りの手だても議論した。会議はこの日までに6議題を取り上げ、実質的な討議を終えた。

(2011年7月29日朝刊掲載)

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