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7度目補足説明要求 上関埋め立て 原発の免許延長 山口県が中電に

 中国電力の上関原発建設予定地(山口県上関町)の公有水面埋め立て免許延長をめぐり、山口県は22日、中電に「説明が尽くされていない」として7度目の補足説明を求める文書を送った。回答期限は1年後の来年6月22日。延長申請に対する村岡嗣政知事の可否判断の先送りは、昨年5月に続いて2度目となる。

 2012年10月に免許の3年間延長を県に申請した中電は5月中旬、県に6度目の補足説明の回答文書を提出していた。同時に、15年10月までに埋め立て工事を完了するのは難しいとして、免許期間を18年6月まで2年8カ月間延長することも併せて申請していた。

 県によると中電は回答文書で、上関原発の国の重要電源開発地点としての位置付けは今も変わらず、30年の電源構成比率の政府案で原発が「20~22%」とされ、その役割が重要視されているなどと強調した。

 県は二つの申請を一体で審査。その結果、延長を認めるかどうかを判断するのに、この内容では不十分と判断したという。22日に記者会見した村岡知事は「一定の説明はあったが、国のエネルギー政策における位置付けが変わらないと言えるだけの説明が尽くされていない」と話した。

 中電が免許の延長を申請した当時の故山本繁太郎前知事は、前任の二井関成元知事の方針を引き継ぐ方向で「不許可にすることになる」としていた。だが13年3月に方針転換。可否判断を1年間程度先送りした。前知事の病気退任を受けて昨年2月に就任した村岡知事も、政府が上関を含む原発新増設の是非を明らかにしない中、前知事の方針を踏襲している。(門戸隆彦)

【解説】審査は長期化 方向性見えず

 上関原発の公有水面埋め立て免許の延長問題は、村岡嗣政知事が延長の可否判断を再度先送りしたことで審査はさらに長期化する見通しとなった。村岡知事が可否判断のよりどころにするのは、政府のエネルギー政策における原発新増設の位置付けだが、その方向性は今も不透明なままだ。

 2030年の電源構成で原発比率は20~22%と想定されているが、上関原発を含む新増設の議論が本格化するのはこれから。県が中電に補足説明の回答期限として示した1年後までに、その方向性がはっきりするかどうかも分からない。

 村岡知事は可否判断の先送りを決めた理由の一つに、上関原発が現在も国の重要電源開発地点に指定されていることを挙げる。一方、11年の東日本大震災を機にエネルギー政策の見直しが進む中、その動きをしっかりと見極めて判断したいとの思いをにじませる。

 だが、再回答を求める内容はこれまでと同じ質問の繰り返しとしか思えない。中電とのやりとりの詳細も明らかにしていない。「これだけ長い時間がかかるのなら、いったん不許可にして出直すのが筋ではないか」。原発反対派の批判が出るのも当然だろう。(門戸隆彦)

(2015年6月23日朝刊掲載)

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