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反対派怒りあらわ 上関原発埋め立て免許延長先送り 推進派「今は見守る時」

 山口県が22日、上関原発建設予定地(上関町)の公有水面埋め立て免許延長の可否判断を先送りしたことで、原発計画は宙に浮いた状態がさらに長期化する見通しとなった。上関町の反対派住民は「まちづくりが進められない」と怒りをあらわにした。推進派住民は、政府が原発新増設の是非を明らかにしていない現状を踏まえた判断の先送りに理解を示した。(井上龍太郎)

 「先送りの理由も明確にせず、許可権者としてずるい。まちづくりが進められず、生殺しだ」。反対派の上関原発を建てさせない祝島島民の会の清水敏保代表(60)は、語気を強めた。

 村岡嗣政知事としては2度目となる可否判断の先送り。補足説明を求めた理由が、国のエネルギー政策における上関原発の位置付けを確認するためだ、という主張を県庁での記者会見で繰り返した。

 政府は今月、2030年の電源構成比率で原子力を20~22%とする方針をまとめた。だが上関原発を含む新増設の方向性は示されていない。推進派町議でつくる原電推進議員会の海下竜一郎会長(50)は「原子力は国策。新増設の方針が定まらない中、理解できる」、柏原重海町長も「県は県なりに考えた結果でしょう」と話す。

 上関原発は11年3月の福島第1原発事故後に準備工事が中断し、4年3カ月が経過。町は9月、原発の針路が見通せない中で町長選を迎える。推進派の上関町まちづくり連絡協議会の古泉直紀事務局長(56)は「今は見守る時」と述べる一方、「埋め立て予定地で一日も早く工事が再開されるよう望む」とつないだ。

 村岡知事は判断に際し、上関町の視察は予定しないと言い切る。反対派の80代男性は言葉を絞り出す。「県は中電と『猿芝居』をいつまで続けるのか。この間に町民が年を取り、減ってきた事実に目を向けるべきだ」

(2015年6月23日朝刊掲載)

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