×

ニュース

[いくさの記憶] 風化させぬ 70年の誓い 旧海軍工廠爆撃 呉で慰霊祭 体験者、子どもに語り継ぐ

 旧呉海軍工廠(こうしょう)を狙った米軍の爆撃から70年を迎えた22日、広島県呉市警固屋の鍋山第一公園で女子挺身(ていしん)隊員や動員学徒たちを悼む慰霊祭が営まれた。高齢化で参列者が年々減る中、体験者は若い世代へ記憶を引き継ごうと力を尽くしている。(小笠原芳)

 慰霊祭には、遺族や関係者約110人が参列し、焼香した。2000年から毎年参加する警固屋中2年生22人も千羽鶴や菊の花をささげた。

 公園内の殉国之塔では、B29の爆撃で亡くなった工廠の従業員や動員学徒たち計476人を慰霊している。地元の横間フキエさん(98)をはじめ警固屋地区の仏教婦人会が同市宮原に1965年に建立。2006年に住民らが保存会を結成し、現在地に移した。

 保存会の三川博三会長(88)によると、移設時は300人以上いた参列者が年々減っているという。体験や記憶の継承について、三川会長は「地元の中学生から始めたい」と力を込める。

 当時女子挺身隊として旧呉海軍工廠で働いていた同市宮原の高橋節子さん(88)は、爆撃を受けた地下壕(ごう)での体験を年に2、3回、小学校や幼稚園に出向き話す。横間さんも毎年警固屋中を訪れ、当時の暮らしや塔建立の経緯を説明する。

 警固屋中2年の藤森ひなたさん(13)は「体験を聞くだけではなく、自分が伝えていく立場にならなければとあらためて感じた」と話していた。

(2015年6月23日朝刊掲載)

年別アーカイブ