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NPDI、活動継続へ 非核外交で存在感示す

 5月に閉幕した核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、日本などが発足させた非核兵器保有12カ国による軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)が活動を続ける方針を固めたことが23日、分かった。メンバー各国は、NPDIは当初の役割を終えたものの、今後も非核外交で存在感を示せると判断した。

 日本の外務省関係者は「5年後の再検討会議を見据えるとともに、この間で何ができるかを考えたい」と説明。今回の再検討会議で採択されなかった最終文書案には、NPDIが提案した「核戦力の透明化」が盛り込まれた。同省は、その中で核保有国に求めた2017年、19年の核兵器保有数などの報告を念頭に、新たな活動内容をメンバー国と調整する考えだ。

 NPDIは10年に発足し、同年のNPT再検討会議で合意した核軍縮などの行動計画を後押しする活動を展開してきた。14年4月には、被爆地広島で外相会合を開催。議長を務めた岸田文雄外相(広島1区)が、世界の政治指導者による被爆地訪問を呼び掛ける広島宣言を発表した。

 広島宣言に含まれていた核兵器の削減交渉の多国間化や非人道性の認識共有などの提案も、今回のNPT再検討会議の最終文書案に反映された。メンバー国は「高い存在感を示せた」と評価。ただ、最終文書案は、中東問題をめぐる米国などの反対で採択されず、今後5年間における国際社会の核軍縮・不拡散の指針は宙に浮いた状態になっている。(藤村潤平)

軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)
 「核リスクの低い世界」を目指し、日本とオーストラリアの主導で設立された有志国の枠組み。メンバーは日豪をはじめ、カナダ、チリ、ドイツ、メキシコ、オランダ、ポーランド、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)、フィリピン、ナイジェリアの計12カ国。外相会合をこれまで毎年春と秋の計8回開き、核軍縮・不拡散の現実的、具体的な取り組みを提案している。

(2015年6月24日朝刊掲載)

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