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連載・特集

レンズはとらえた戦後70年 交通時代の幕開け1961~62 空港開港 新たな名所に

 開港したばかりの広島空港(広島市西区観音新町)のデッキに押し寄せた人、人、人…。その波はプロペラ旅客機が止まる滑走路付近にまで及ぶ。空の便がまだ縁の遠い存在だった当時、機体が飛び立つ姿に人々の心は躍った。

 広島湾を望む滑走路は全長1200メートル、幅30メートル。レーダーがないため、夜間の離着陸はできなかった。日中も有視界飛行。霧のためによく欠航したという。後に滑走路の延長や航空管制の整備などが進み、空の玄関口として広島経済の発展を支えていく。

 新己斐橋は車道と市内電車の供用橋として太田川放水路に架けられた。市電専用だった隣の己斐鉄橋は1965年の新己斐橋開通後、取り壊された。呉市警固屋地区と倉橋島には音戸大橋が開通し、国内初の試みだったらせん状の高架橋が話題となった。

 国外では61年、ジョン・F・ケネディ氏が米国の35代大統領に就任。旧東ドイツが東西冷戦の象徴である「ベルリンの壁」を築いた。62年には核戦争の緊張が高まったキューバ危機が起こり、世界が震え上がった。(村上昭徳)

(2015年6月24日セレクト掲載)

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