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イランの毒ガス被害者 広島を訪問 被爆者と連携へ

■記者 永里真弓

 平和記念式典に参加するため広島市を訪れたイランの毒ガス被害者8人が5日、東区の医院で被爆者3人と、大量破壊兵器の廃絶や平和教育に向けて意見を交わした。

 イランの人たちはイラン・イラク戦争(1980-88年)で毒ガス攻撃を受け、今も呼吸器や目、皮膚の後障害に苦しめられている。廿日市市の寺本貴司さん(73)、東区の岡田恵美子さん(71)、同区の沖田照さん(80)の被爆者三人が迎えた。

 ホセイン・シェガルーフさん(46)は「毒ガスで皮膚がただれた。原爆資料館で見た写真の被爆者と当時の自分が重なった」。寺本さんは「私をおぶって逃げた知人は、2カ月後に亡くなった」と証言した。

 双方が、大量破壊兵器の非人道性を再確認し、「草の根レベルで平和を広げよう」と約束した。イラン側から、ヒロシマが蓄積した平和教育をイランに取り入れる提案も出された。

 毒ガスによる死傷者は約10万人以上といわれる。イランの訪問団(総勢15人)は、東区の特定非営利活動法人(NPO法人)「モーストの会」の協力で2日に広島入りした。平和記念式典への参加は5回目。

(2008年8月6日朝刊掲載)

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